セファロタス フォリキュラリス(Cephalotus follicularis)はオーストラリアの代表的な食虫植物で、他の食虫植物とは違った独特の魅力を持っています。
また、セファロタスはサラセニアやネペンテスなどの食虫植物に比べて、ごくわずかなスペースでも魅力的な袋状の捕虫葉を楽しめますし、暑さや寒さにも強く、セファロタスの性質を良く理解してから栽培するならば、とても育てやすい食虫植物です。
セファロタス フォリキュラリスはカタバミ目に分類されている食虫植物です。古くからセファロタスはバラ目と解釈されてきましたが、生物の分類に大きな進歩をもたらした分子生物学の発展によって、セファロタスはカタバミ目に分類されるようになりました。
通称:セファロタス フォリキュラリス、ケファロタス フォリクラリス
和名:フクロユキノシタ
英名:Australian Pitcher Plant、Albany pitcher plant
学名:Cephalotus follicularis
分類:カタバミ目セファロタス科(フクロユキノシタ科)セファロタス属(フクロユキノシタ属)
分布:オーストラリア南西部(ヤーリンガップからエスペランスにかけて)
オーストラリアからは独自の進化を遂げた個性的な食虫植物が数多く知られていますが、中でもセファロタスは他に似た種のない、1科1属1種の食虫植物です。
セファロタス フォリキュラリスが小さい袋(幼葉)ばかりの状態から、食虫植物らしい大きい袋(成葉)を付けたときの感動は、セファロタス栽培の醍醐味のひとつです。
海外から入手した直後のセファロタス(写真左)と、その4ヶ月後(写真右)。
さらに4ヶ月後に始めて付け始めた大きな袋(写真左)と、その11日後のセファロタス(写真右)。
さらに26日後の完成した成葉を付けたセファロタス(写真左)と、成熟した大きな袋を付けた8ヶ月後のセファロタス(写真右)。
この写真のセファロタスは全て同じ1つの株です。栽培環境ですが、セントポーリアなどに使う小型温室に入れていますので湿度は室内より少し高め、密閉していないので通気は良好、用土は普通の乾燥ミズゴケ、光は植物育成灯のみ、水やりは用土が乾いてきたら、という環境です。
セファロタスには様々な栽培方法がありますが、セファロタスは栽培環境によって、生長の早さや丈夫さだけでなく、見た目もかなり変わってきます。ですから、どのような姿のセファロタスになって欲しいかにより栽培方法を選ぶのが、理想のセファロタスを栽培するための近道のように思います。
このサイトに掲載されている写真のセファロタスを気に入っていただけましたら、ぜひ、このサイトをご参考いただけましたら幸いです。
セファロタス フォリキュラリスは地を這うアリなどの昆虫を補食するように特化した食虫植物で、地上に壺を並べたような不思議な光景を見せてくれます。
中でも大きな特徴がセファロタスのフタです。
サラセニアやネペンテスなど、袋状の捕虫葉を持つ食虫植物には、たいてい、雨よけになりそうなフタのようなものがあります。
ですが、多くの食虫植物において、こうしたフタは、いったん開いたら、二度と閉まることはありません。
ところがセファロタスの場合、このフタを閉じたり開いたりする場合があるのです。
もっとも、その開閉には、とても時間が掛かりますし、また、セファロタスがフタを閉じるのは、地下部の状態が良くなかったり、あるいは、そのセファロタスにとって湿度の低い環境に置かれていることを示します。
海外からの長旅を乗り越えてきたセファロタスを無理に株分けして植え替えた直後(写真左)。だんだん調子が悪くなり、2週間後には、すっかりフタが閉じてしまいました(写真右)。生長点も、いじけてしまっています。
フタが閉じたときに、出っ張っているところにつかえないよう、ちゃんとフタのその部分に窪みがあり、ピッタリと閉まるようになっていることがお分かりになりますでしょうか。
このセファロタスが元気を取り戻し、フタが再び開いたのは、さらに3週間後でした。
今では生長点も新芽でいっぱいです。
セファロタス フォリキュラリスは秋になると紅葉する食虫植物です。系統により、赤や紫など、紅葉の色にも違いが見られます。
セファロタスのいくつかの系統は、完全に人工照明だけの環境でも秋には紅葉しますが、同じ温室で同じ照明であっても、ある系統は全ての鉢が紅葉しているのに対し、別の系統は全ての鉢で全く紅葉しないなどの違いもみられます。
また、紅葉は特に温度の影響を強く受けるため、冬は10度以下で栽培することにより、光量が少なくても強烈に紅葉します。ただし、セファロタスの小さな幼株の場合には人工照明だけの環境では紅葉しにくいようです。
セファロタスの中には黒に近い色にまで紅葉する系統もあります。
この株は、昼間15度、夜間10度、湿度は65パーセント前後、屋外光が全く入らない二灯の植物育成灯のみの温室で紅葉しています。
セファロタス フォリキュラリスは西オーストラリア州アルバニーのシェーンビーチといった、ごく限られた地域だけに自生する稀少な食虫植物です。海に面した斜面にびっしりと覆い尽くすように生えています。
セファロタスの自生地は西オーストラリア南端の海岸線に沿って広がり、強烈な日射しが降り注ぎ、海からは強い風が吹き付けてくる、そんな場所にセファロタスは生えています。
また、アルバニーより西には、湧き水の染み出す土地や、いくつもの川が流れ込む汽水海峡が多数あり、そのような場所にもセファロタスが自生しているようです。西オーストラリアの玄関口パースから近いため、パース経由で訪れる旅行者には、この地域の自生地の方が馴染み深いようです。
現存している立ち入り可能なセファロタスの自生地は20箇所ほどが知られ、その多くは、自生地の3分の1ほどを占める、このアルバニーより西の地域にあり、湧き水などが多く開拓に向かないことが自生地の保全に繋がったとみられます。
アルバニーより東には、大きな袋を付けたセファロタスの自生地がいくつかあったようですが、有名なエミューポイントを始め、2010年代前半までに多くの自生地が消失してしまったようです。
こうした自生地を含む一帯が西オーストラリア政府による開拓推進地とされた他、ちょうど欧米でジャイアント系セファロタスのブームが起きていた時期とも重なるため、食虫植物を取り扱う一部の業者による採取も、大型セファロタスの自生地消失に拍車をかけてしまった可能性がありそうです。
セファロタス自生地の季節は日本とは逆で、12月ごろから高温少雨の夏となり、6月ごろからが低温多雨の冬で、冬は冷涼で湿度の高い環境となります。
オーストラリアの中でも年間を通して穏やかな気候で、雨季と乾季の影響も少なく、日本における真夏や真冬のような厳しい季節は無いようです。
かつては数千もの捕虫袋が群生する自生地も見られたそうですが、近年は農業用地の拡大などに伴い、そうしたセファロタスの自生地も消失しているようです。
セファロタス フォリキュラリスの補虫袋の大きさは、個体ごとに、かなり差があります。少なくとも、セファロタスを栽培している用土に含まれる養分、あるいは肥料と、ごく細い糸状の白く若い根の量が、補虫袋の大きさに影響を与えているのは間違いないようです。
多くの自生地で見られるセファロタスの袋の大きさは3センチほどのようですが、より大きな袋を付けたセファロタスの見られる自生地が、いくつか存在するようです。そして、そのような地域に由来するセファロタスは、多くの自生地が消失してしまった今も、名前の一部にジャイアントと付く品種名で販売されています。
最大の品種とも言われるハマーズジャイアントやジャーマンジャイアントも、こうした地域から採取された原種の可能性が高いようですが、今では、その自生地も幻となっています。
標準:3センチから4センチ(フタを入れて4センチから7センチ)
最大:5センチ(フタを入れて7センチから8センチ)
日本において、食虫植物の愛好家の間で長く受け継がれ、古くから栽培されてきたセファロタスです。アルバニーより西には、今もこうしたセファロタスの自生地が多く残されています。
標準:5センチから6センチ(フタを入れて7センチから8センチ)
最大:8センチ(フタを入れて10センチ)
1980年代、オーストラリアの古い園芸店の店主が、ある地域に自生していた大型の野生セファロタスを販売していました。そして、それがアメリカやドイツに渡り、その巨大さに驚いたセファロタスの栽培家がジャイアントという名前を付けて売り出したのが品種開発競争の始まりのようです。
ちなみに、この園芸店の店主は、他の地域のセファロタスを見る機会がなかったのか、自分が販売しているセファロタスが標準的なサイズだと思っていたようです。
セファロタス フォリキュラリスは少し変わった構造をしています。葉だけを地上に出し、茎と根は地中で大きく生長していきます。
セファロタス フォリキュラリスは、発芽時だけに見られる双葉の他に、三種類の全く異なる葉を展開します。
セファロタスから、どのような葉が展開するかは、気温や湿度などの条件により変化する傾向が観察されます。そして、セファロタスは、ときには補虫袋とも普通葉ともつかない中途半端な葉を形成する場合もあり、こうした葉が何かのヒントになりそうな気もしています。
ともあれ、セファロタスの自生地であるアルバニーは、真夏の平均最高気温が23度、真冬の平均最低気温が8度、湿度は年間を通して60パーセントから70パーセントということで、この環境を再現できれば、野生のセファロタスと同じような姿になるのではと思われます。
小さな袋状の葉です。小さいセファロタスでは、この形状の葉が多く付きます。
セファロタスの幼葉は、気温が高かったり、株が幼かったり、脇芽が多すぎたり、用土の養分が足りていなかったり、地上部を養えるだけの根が十分に張っていない場合などに、多く展開する傾向が観察されます。
セファロタスの自生地では、幼葉は、あまり見られないようですが、海外では25度で育てるという栽培方法が確立されていて、自生地より高い温度であることも、栽培下において、この小さな袋が多く見られる要因のひとつかもしれません。
さじのような形をした葉で、セファロタスを葉挿しで殖やすときに重宝します。
セファロタスの普通葉は、気温が低かったり、湿度が低かったり、植物育成灯ではない蛍光灯で栽培している場合、あるいは、幼葉ばかりの状態から補虫袋に切り替わる前などに、多く展開する傾向が観察されます。
普通葉はセファロタスにとって健康のバロメーターで、健康な葉は平らで光沢がありますが、根に問題が起きれば葉は外側に反り返り、赤と青の波長の光が足りていないと葉は厚く濃い緑に、養分が不足すると葉色が薄くなり葉脈が浮き出たようになります。
セファロタスの最も魅力的な葉で、このサイトでは捕虫袋を美しく育てることを目的としています。
セファロタスの補虫袋は、健康な新しい根が良く発達し、用土には十分な養分があり、赤と青の光量が足りていて、ある程度の湿度が保たれている場合に、多く展開する傾向が観察されます。
セファロタスは用土に十分な養分が含まれている場合、温度が10度から15度くらいのときに大きな袋を付け始めることも多く、また、気温は生育に十分ながら用土に養分が足りていない場合は、肥料を与えることで大きな袋を付け始めたりもします。
セファロタス フォリキュラリスは葉だけを地上に出して、茎を地中に伸ばしていく変わった食虫植物です。
地下に伸びるセファロタスの茎は、まるで太い根のように見えますが、これは地下茎と呼ばれるもので、根ではありません。
セファロタスの地下茎は生長に伴って長く伸びていくため、幼苗や小さな株では地下茎の確認が困難で、葉と根だけで構成されているように見えます。
セファロタス フォリキュラリスの根は地下茎から長く地中に伸びていきます。新しい根は白いですが、やがて褐色になります。
セファロタス フォリキュラリスを栽培してみると、実際には、かなり丈夫な食虫植物であることがわかります。
1日のうちに湿度や温度が激しく上下しても、水やりをうっかり忘れて用土を少しばかり乾燥させてしまっても、それでもセファロタスは枯れません。
植物育成灯が2灯だけの弱光環境で、他の食虫植物が弱っていくような場所でも、セファロタスだけは次々と大きな袋をつけていきます。
30パーセント近い低湿度、乾いて表面がサラサラの用土、人工照明だけの少ない光量、40度にもなる猛暑、そんな温室でも、モウセンゴケやビブリスなどの食虫植物が次々と枯れていく中、セファロタスだけが活き活きとしていたのです。
部屋の環境に順化したセファロタスは、用土の乾燥にも、ある程度は耐えられるようになります。
セファロタス フォリキュラリスの栽培においては、ウツボカズラやモウセンゴケなど、一般的な食虫植物用の環境では空中湿度が高すぎたり、用土が過湿すぎたりする場合もあるため、セファロタスは温室や植物育成灯など、セントポーリア用の設備で育てるのがおすすめです。
また、セファロタスを栽培する上で、湿度計は必需品と言えます。当然ながら、日の当たる日中に気温が上がれば湿度は下がり、夜になって温度が低くなると湿度は上がりますが、特に乾燥しやすい日中の湿度には気をつけておく必要があるでしょう。
湿度が下がっている場合の対処法としては霧吹きの効果が絶大です。セファロタスに付いている全ての葉が十分に濡れるくらいを目安に霧吹きをします。なお、霧吹きの水は使用のたびに新しく入れ替えるようにします。
セファロタスは生育に適さない環境に置くと、不思議なほどピタリと生長を止めます。1週間前に比べて変化がないようであれば、涼しい場所に置くなど、栽培環境を見直し改善することによって、またすぐに元気を取り戻して次々と大きな袋を付けるようになります。
セファロタス フォリキュラリスなど、食虫植物の栽培においては、多くの方が昆虫などをエサとして与えるのかと聞いてこられます。
しかしながら、栽培下における多くの食虫植物と同様に、セファロタスの栽培においてもエサやりは不要です。
大気中には微生物や微細な有機物など、様々なものが大量に漂っています。セファロタスの場合、風を好む性質を考えますと、微生物や有機物を含んだ空気を常に袋へ取り込み続けることによって、昆虫よりも、むしろ、こうしたものから養分を吸収しているように感じます。
また、セファロタスは新鮮なミズゴケのような栄養分の豊富な用土を好み、他の食虫植物に比べて、根からも、しっかりと養分を吸収しています。
一般に食虫植物は、養分の少ない土地で生き抜くために、虫を捕まえて養分を補っている、という印象がありますが、セファロタスに限って言えば、土中の養分だけでは飽き足らず、さらに虫まで食べようとする、食欲旺盛な食虫植物という印象がしてならないです。
海外からセファロタス フォリキュラリスの苗を取り寄せると、業者によっては貴重な品種の苗を驚くような梱包で送ってくることがあります。
むき出しの根は、ミズゴケなどの用土で保護されているわけでもなく、ビニールパックの中に、わずかな緩衝材に包まれたセファロタスの極小苗が、そのままコロンと入っていたりします。
パックの中は十分な湿度が保たれているようでしたが、湿度を保つために良く使われる濡らしたシートのようなものも、根を保護するミズゴケもありません。
でもこうした苗はとても健康で、枯れにくく、植え付けてすぐに、すくすくと生長を始めます。
植物には環境に合わせて体を変化させ順応する能力があります。陸地に生えている草の中にも、水没すれば水草としての体に変身して順応する種類もかなりの数に上ります。
そしてセファロタスも過保護にしなければ、部屋へ無造作に置いておいても勝手に育つくらい丈夫な株になるのです。
そもそも、セファロタスは本来、部屋が極端に乾燥していたりしなければ、水槽はもちろん、温室に入れる必要さえなく、ポトスと同じように管理しても問題なく育つ食虫植物ですし、温室に入りきらず部屋のすみへ適当に置いてあるセファロタスも1枚の葉さえ枯れずに濃い緑の新芽を展開し続けています。
乾いた風に当たっただけで干からびてしまう株になるか、少しくらい環境が悪くなっても、たくましく生き抜く丈夫な株になるかは、ひとえにセファロタスの育て方にかかっています。
セファロタス フォリキュラリスを栽培する上で、湿度が何パーセントといった数値を目安にすることもセファロタス栽培における大事なポイントのひとつではありますが、こうした数値はあくまでも目安に過ぎません。
例えばセファロタスの栽培において推奨される湿度の範囲から10パーセントくらい外れていたとしても、それはあまり大きな問題ではないということです。
むしろ、いつも一定の湿度、一定の温度で管理していれば、その環境以外には適応しなくなりますが、湿度が80パーセントだった5分後には50パーセントになるような環境で栽培しているセファロタスは順応性の高い株になります。
セファロタスを栽培している環境の湿度や温度を常に把握しておくことは重要ですが、その数値にいちいち振り回されることなく、あくまで目安として考えておけば、セファロタスを無理なく栽培することができるでしょう。
セファロタス フォリキュラリスは海外でも人気の高い食虫植物で、日本ではあまり見られないような品種も販売されています。
こうした海外からの輸入セファロタスも、食虫植物の専門店やオークションで入手できるようになってきましたが、そうした株を入手した場合には、まず日本の屋内環境に馴化させることが栽培成功の近道です。
とはいえ、海外では温度は25度、湿度は60パーセントから80パーセントという栽培方法が確立されていますので、それほど時間をかけずに馴化させることができます。
ただし、稀少な品種などは組織培養で増やしていることも多く、こうした株を入手した場合には、下手をすると湿度が100パーセント近い環境で育てられていた可能性もありますので、そのような場合には1ヶ月くらいかけて慎重に馴化させるべきでしょう。
これまでに食虫植物を専門に取り扱う世界中の業者から入手したセファロタスを馴化させてきましたが、例え、どのような環境で育てられていたセファロタスであっても、いったん馴化すると雑草のごとく丈夫で枯れない株になります。
湿度が100パーセント近い環境で育てられていたセファロタス(写真左)を馴化させるために新しい環境へ移すと、いったんほとんどの葉が干からびるように枯れてしまいます(写真右)。
でも心配ありません。慌てて植え替えたり、置き場所を変えたりしなければ、2ヶ月ほどで環境に馴化した丈夫で枯れにくい、しっかりした新芽が出てきます。
新芽が出てから5週間後(写真左)と、さらにその2ヶ月後(写真右)。
入手したばかりのセファロタス フォリキュラリスを馴化する過程で、一時的に風通しの悪いところで育てていると、稀に白いカビが生えてしまうことがあります。
フラスコから出すときに培地の洗浄が不十分だったり、あるいは、フラスコから出してピートモスなどに植えただけで馴化させず外気に触れない密閉環境で管理していたり、場合によっては肥料の散布など、海外における食虫植物の栽培環境にも要因がありそうです。
見た目は何となく、うどんこ病に似ていなくもないですが、うどんこ病の対処方法とは逆に、乾燥させることでカビを簡単に消滅させることができます。薬剤も必要ありません。
白いカビに覆われたセファロタスを風通しの良い日陰へ移動。一週間ほどは上からの灌水や霧吹きはしないで良く乾かします。
一週間後、枯れかけた葉は全て枯れましたが、カビは、いつの間にか勝手に消滅しました。
なお、水で流れてしまうような接着力の弱いカビであれば洗い流してから風通しの良い場所へ置きます。他にも、うどんこ病や、他の種類の白いカビなど、性質の違う菌が原因の場合も考えられますので、状況に応じて対処していくのが良さそうです。
いずれにしても、カビの生育条件とセファロタスの生育条件が重ならない環境を作ることがカビ対策のポイントになります。
カビの弱点(カビの種類にもよります。)
カビにとってはこうした弱点をひとつでも突かれると大打撃になり、ほとんどの場合、自然に壊滅します。セファロタスは、日光を好み、低温にも相当に強く、かなりの低湿度にも耐えます。
ただし、セファロタスの地上部は急激な環境の変化には弱いので、地上部を枯らしたくない場合には栽培環境に合った対策を選択することも必要です。
セファロタスは、ほとんど病気にはかかりませんが、昨今、うどんこ病と思われる症例が増えているようです。
セファロタスに発生する通常のカビは、海外から入手した株を馴化する過程で発生するため、購入時には付着していません。ですが、もし、購入直後のセファロタスに白いカビが付着しているのを発見した場合には、うどんこ病を疑ってみる必要がありそうです。
当方では今のところ、うどんこ病の発生はありませんが、うどんこ病のセファロタスを栽培されている方は、食虫植物栽培のベテランの方でさえ、その根絶には、かなり深刻に悩まれている印象を受けます。
うどんこ病の場合は他のセファロタスにも伝染する恐れがありますので、薬剤などを用いて早急に治療されることをおすすめします。
特に水槽などの密閉環境に近い状態で栽培されている場合には、撒き散らされた胞子が充満してしまう可能性もありますので、新しいセファロタスを購入した際には、しばらくは隔離して栽培し、病気がないことを確認した方が良いかもしれません。
なお、うどんこ病は植物ごとに原因となる菌が異なり、セファロタスはウリ科の植物に感染する菌により発病するらしいので、近くのカボチャやキュウリなどに、うどんこ病がみられた場合には注意すべきでしょう。
セファロタス フォリキュラリスは湿度が40パーセントから70パーセント、温度は10度から25度くらいの環境を好みます。
人の快適湿度が40パーセントから65パーセント、快適温度が18度から25度くらいとされていますので、部屋をこのように整えれば、人にもセファロタスにも快適な環境となるでしょう。
あとはカーテン越しの光と、わずかな空気の流れがあれば、セファロタスは特別な設備を用意することなく育てることができます。
特に、温度が10度から15度、湿度が65パーセント前後のときに、セファロタスは通常より、いきなり大きな袋を付けることが多いです。
ただし、大きな袋を付ける要因が、こうした温度のような環境によるものか、あるいは、オーストラリアでは夏にあたる12月ごろの季節に応じた生理的なサイクルによるものかもしれません。
それまでの成葉よりも一段と大きな袋を付けたジャイアントタイプのセファロタス(写真左)と、幼葉ばかりになっていたセファロタスから、いきなり展開した大きな袋(写真右)。
また、セファロタスは人工照明だけでも元気に育ちますので、外の光が全く入らない場所でも栽培を楽しめます。
セファロタス フォリキュラリスはお気に入りの鉢に植えて身近なところに置いて楽しむのにも丁度良いサイズです。ぜひ、セファロタスの魅力を間近で楽しんでいただけたらと思います。
セファロタスの栽培について、詳しくはセファロタスの栽培をご覧いただければと思います。
セファロタス フォリキュラリスはバリエーションの豊富さも魅力です。ここでご紹介しているのは全てセファロタスです。黒くなるタイプや巨大化するタイプ、食虫植物ヘリアンフォラのようなものもあります。